自閉症の画家、石村嘉成 – 子供の日の母との思い出を胸に。

皆さんこんにちは。

あなたは、「いきなり自閉症と言われても、なんかイメージがわかないな。」とか、

「暗そうなイメージで、夢や希望を諦めて生きていくしかないのかな。」などと思ってはいませんか。

今回は、2歳のときに自閉症と診断されながらも、健常者と同じように自立して生活し、自分の特性を生かして活躍している芸術家、石村嘉成(いしむらよしなり)さんをご紹介していきたいと思います。

これを読んだ方が少しでも自閉症のイメージをポジティブに変えてもらえることができれば嬉しいです。

芸術家、石村嘉成さんとは?

石村嘉成さんは、1994年に愛媛県新居浜市に生まれました。2歳児検診の時に、自閉症による発達障害を医師から申告されます。

その後、小学5年生の時に、最愛の母親を亡くしますが、それまで愛情を込めて一生懸命に育ててくれた母の想いを胸に、母の願いであった地元の高等学校への進学を果たします。

そして高校生から創作活動を始め、メキメキと力をつけていきます。

高校卒業後、2013年から、自宅のアトリエで本格的に制作を開始すると、

2013年第2回エコールドパリ浮世・絵展ドローイング部門・優秀賞受賞、平成28年版環境白書表紙絵コンクール/ 一般の部 環境大臣賞(最優秀賞)、全国障害者アート公募展「みんな北斎」準大賞受賞

など、数々の賞を受賞します。

今でもその創作活動の原点となっているのが、生前お母さんが撮ってくれた生き物のテレビ番組の録画テープだそうです。

石村さんの宝物であり、15年以上繰り返し見続けているそうで、今の、「生き物の命の輝きを描く絵」の原点ともなっているビデオテープです。

その後、地元愛媛県の美術館や動物園で個展を行ったり、東京・表参道ヒルズで個展の開催をしたりと、活躍の幅を広げています。

個展と作品について

石村さんは現在も、定期的に個展を開催しています。

ここでは、過去に開かれた個展などをご紹介して、どんな感じなのかその雰囲気を感じていただこうと思います。

あかがねミュージアム(新居浜市美術館)での「石村嘉成展」の様子

2019年6月29日〜8月18日に、石村さんの地元、愛媛県新居浜市美術館で開かれた個展、「石村嘉成展」の様子です。

小さいキャンパス画を壁一面に敷き詰めています。

ずっとこの壁の前に立って見ていれそうです・・!

▲この作品、強い意志が私には伝わってきました。

▼たくさんの方々が集まって石村さんのトークを聞いています。

▼大きな口を開けたカバ。

▼さっきとは対照的な大きなキャンバス。

▼色使いから、明るい印象を受けます。

みんな北斎 準大賞受賞作品:日記帳

「全国障害者アート公募展 みんな北斎」で、石村さんの作品「日記帳」が準大賞に受賞されました。

その時の書評などを抜粋しましたので、よかったらお読みください。

書評より抜粋(受賞理由):

(日記帳に描かれた絵の)ダイナミックかつ繊細な表現は、命への好奇心にあふれています。

毎日自由帳に線を引き几帳面に書かれた言葉も、動物への愛に満ちています。

積み重ねて描き続けるエネルギー、生きとし生けるものへの愛情、そして大胆な表現力。

そのすべてに、現代の北斎を感じました。

表参道ヒルズ西館1F GALLARY KOWAにて開かれた個展

2017年11月16日〜21日に表参道ヒルズ西館1F GALLARY KOWAにて開かれた個展「私の生き物図鑑IV」の時の様子です。

ガラス張りでとてもおしゃれです。作品の良さを引き立たせてくれていますね。

▲中ではたくさんの方が作品や紹介文を熱心に見ています。ポストカードなどのグッズの販売をしている様子も見えます。

▼石村さんが2つの版画を持って写っている写真です。

ホームページに載っている”親の想い”が素敵すぎる。

石村さんの公式HP(こちら)に掲載されている、”親の想い”が素敵すぎるので紹介させてください。

出来ないことを数えてもしょうがない。

目を合わさない。呼びかけに反応しない。あやしても笑わない。こだわりが強い。すぐパニックを起こす。パニックを起こしたら泣き叫ぶ、暴れる。わざとどこにでも頭をぶつける。コミュニケーションが全くとれない。

そんな幼児でした。それでも少しでも生かせる能力があると信じて、療育(トレーニング)をしてきました。

母親は、「嘉成は大人になっても、誰かのお世話なしでは生活できないかもしれない。だから人に大事にしてもらえる子、人に好かれる子になってもらいたい。」と一生懸命育てました。

しかし療育は三歩進んで二歩下がり、二歩進んで三歩下がりの繰り返しで、なかなか効果は見えて来ません。そんな中でも、どんどん年齢を重ねていきます。周りのお友達は目に見えて成長していきます。

母親も少しの喜びと大きなストレスの繰り返しです。それでも厳しく療育してきた甲斐あってか今のところ彼は周りの優しい人に恵まれています。しかし一番大切な母親を亡くしました。

今はたくさんの方々に支えられて版画をしていくことができています。彼女は息子の将来を決して諦めてはいけない、投げだしてはいけないと教えてくれました。

そして彼は版画と出会うことによって、人に認められるという喜びを知り、それが生きる自信に繋がりました。一生かけて取り組めるやり甲斐のあることが見つかって本当に良かったと思っています。

石村和徳

「普通の子供と比べて、なかなかみんなができることができない」

そんな気持ちから、焦りや戸惑いを感じながらも、息子のできることに目を当てて、諦めない気持ちがとても伝わってきました。

小説家、早見和真さんと共演?!

早見和真(はやみかずまさ)さんは、小説「イノセント・デイズ」などで知られる人気小説家です。

彼の略歴が波乱万丈で面白くて(面白いと言ってすみません)ちょっと紹介させてください。

学生時代の早見さんは、全国紙の新聞社への内定が決まっていたにもかかわらず、3年留年した上に退学したため内定取り消しとなってしまい、自暴自棄になっていたそうです。

学生時代に勢力をあげて飛び込み営業で出版社のライターとして活動していた甲斐あってか、出版社の編集者から小説を書くことを勧められ、小説家としてデビューすることとなります。

その後、執筆活動に専念するため都会を離れ静岡に家族とともに移り住み、2016年3月愛媛県松山市に移住。

地域にコミットするべく、愛媛県を舞台にした飼い猫マルの冒険譚を描いた「悲しきデブ猫ちゃん」という連載記事を愛媛新聞で掲載しています。

ということで、そんな早見さんが、2019年11月、石村さんのアトリエに訪れました。

二人は、新居浜市美術館で会った以来の再会だったそうです。

石村さんは、

「(恐れ多いけど)いつか、何か一緒にできたらうれしいな。」

と率直な気持ちを語っていました。

GALLARY 嘉とは?

「GALLARY 嘉」は、2018年10月からスタートした石村嘉成さんのギャラリー館です。

来館するときは、来館予約がこちらからできます。

公式HPについて

石村嘉成さんの今後の個展情報やグッズの販売情報、ブログなどが見られる公式HPはこちらからアクセスできます。

(この記事を書く際にも、とても参考にさせていただきました。ありがとうございます。)

NHKのドキュメンタリービデオ

NHKのドキュメンタリー、NHK HUMANで石村さんが特集されています。

感動するので、よければ見てみてください!

2分半くらいで凝縮されています。

終わりに

いかがでしたでしょうか。

本日は、自閉症の画家である石村嘉成さんについて特集していきました。

自閉症など発達障害を持つ人たちに対する考え方が、少しでも変わって、少しでも今よりもっとポジティブに接することができるようになったらとても嬉しいです。

それでは、最後までお読みいただき、ありがとうございました。

また次回、お会いしましょう。

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