土曜日の朝
ドシャ降りの雨に打たれながらバイクを走らせる。
打ち付ける風に身を引き締め、それでもなお、進み続ける。
行き先は、、、無い。
ただ、北へ北へ海を目指してアクセルを掛け続ける。
「だから、軽自動車借りた方がよかった」
そんな気持ちが湧いてくる。
「いや、私には今、そんなお金は無い。」
「原付で精一杯だ。」
車と違って、バイクは風や雨の影響を直で受ける。
「時速50kmって、こんなに風切るのか。。」

打ち付ける風と雨の影響で、だんだん記憶が遠退く。
そして徐々に、無心になっていく。
この『無心』が今の私にはありがたい。
さっきまで、心の迷いがあり、自暴自棄になりかけていたからだ。
人には皆、感情の抑揚がある。
その波が小さい人もいれば、(高波のように)大きい人もいる。

「わかっている。」
私は昔から人より感情の波が大きい。
そして、その感情がすぐに体全身から放出される。
『わかりやすいのだ。』
そして今、その感情の波はマイナス側の頂点にいる。
いや、さっきまでその頂点にいた。
こういうとき、「何も考えない」という贅沢が何にも変わってありがたい。

無心で雨に打たれながらただバイクを走らせることだけに集中する。
北へ、北へ向かって走り続ける。
(風圧で顔や髪、からだ全身が引っ張られていく。。)
風に負けまいという気持ち一心で北に向かって走り続ける。
すると頭で考えるのではなく、何かに呼びかけられたような気がした。
人生に無駄な時間は、無い。

何かを悟ったような感覚でこの1文だけが頭に残り、この1文だけが何度も唱えられ続けた。
『人生に無駄な時間は、無い。』『人生に無駄な時間は、無い。』『人生に無駄な時間は、無い。』
何かとても大切なことのように、無意識にこの一文を頭の奥深くに記憶させようとしていた。
『人生に無駄な時間は、無い。』
その1文をからだ全身で理解したあとにふと、思った。

『人生に無駄な時間はない。それなら、自分がやりたいと思ったことを素直にやればいいだけじゃないか!』
そう思うと、あれこれ考えていたことを忘れ、また挑戦できる勇気が湧いてきた。
人生に無駄な時間はない!
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