みなさんこんにちは。
あなたは、「精神障がいから回復し退院したけれど、これからどうやって生きていけばいいのかわからない」
「精神障がいを持っていても、それを個性として認めてくれるような場所はあるのかな」
などの疑問や不安を抱えてはいませんか?
そんな方へ今回の記事では、統合失調症やうつ病などの精神障がいを持った人たちが、それを「個性」として尊重しあいながら生き生きと暮らす不思議が詰まった場所、「べてるの家」についてご紹介していきたいと思います。
目次
べてるの家ってそもそもどんなところ?

べてるの家は、精神障害を持った当事者が自立して生活している場所です。
40年ほど前に、精神科を退院した早坂潔さんをはじめとした精神障がいを経験した数名が、自分たちがこれからどうやって社会で生きていけば良いのかと考えた末にこの家を設立しました。
現在では、精神障がいだけでなく様々な障がいを持った方が活動に参加しています。
「べてるの家」ってどこがすごいの?

精神病の人が更生するための施設はたくさんありますが、ここのすごいところは、精神病から回復した当事者たちが、これからどうやって社会とともに生きていけば良いのかを考えながら運営している点です。
その考え方もとってもユニークです。
たとえば、精神病の特徴である「妄想」や「幻聴」などを「幻聴さん」などと親しみを込めて呼んで、どうやって向き合っていけばいいのかを前向きに自分たちで考えていくところです。
自分たちで自分たちの「取扱説明書」を作っていくということを日課のように行っており、「当事者研究」とべてるでは名付けられて親しまれています。
なんとなく、西野カナの恋の「トリセツ」と似たところがあって興味深いですよね。
この「当事者研究」の試みは、国内外でも注目を集めているようで、すごいなって思いました!
精神障がいってなに?
ここで少し、精神障がいにはどんなものがあるのか、簡単にご説明しようと思います。
(もう知っているよ!っていう方は読み飛ばしてOKです。)
精神障害(精神病)には代表的なものとして、べてるの多くの人が持っている統合失調症を始め、気分障害、てんかん、依存症などがあります。
それぞれの特徴について、簡単に説明すると、、
統合失調症
「幻覚」や「妄想」が症状として現れます。
脳の病気として知られていて、ストレスや環境の変化に弱いです。
自分のペースで物事を進めるようにすると対処しやすくなります。
気分障害
気分障害は、うつ病や双極性障害(うつ状態と躁状態を繰り返す状態)がよく知られています。
無理せずしっかり休養し、できるときにやるという心構えで行動すると、対処しやすくなります。
てんかん
なんらかの原因で発作が起きる障害のことを言います。
発作には、痙攣を伴うものや、突然意識を失うもの、認知に変化が起きるものなどがあります。
発作が起こっていないほとんどの時間では日常生活が可能です。
依存症
依存症の対象には、薬物、アルコール及びギャンブルなどがあります。
べてるでは、どんな活動をしているの?

べてるは早坂潔さんを始め精神障がいを持った人たちが北海道の浦河町に集まって始めた施設ですが、具体的にどんな活動をしているのでしょうか。
ここではもう少し詳しく、べてるの活動をご紹介していこうと思います。
べてるで最初にやったことは?
べてるの家は早坂潔さんをはじめとした精神障がいを経験した方々が設立したということは前述しましたが、当時どんなことをやることにしたのでしょうか?

彼らが最初に始めたのは、”商売”です。
地域と一緒に暮らしていきたいという思いから、地元の特産品である日高昆布の袋詰めという商売をスタートさせました。
その名も、”精神病で街おこし!”
ネガティブなイメージを持っている言葉をポジティブに使っていく、べてるの持ち前の明るいイメージは設立当初からすでに出ていたんだなぁ、と感じました。
人数が増えた今では、どんなことを行っているの?

メンバーが増えた今は、各チームごとに分かれて活動を行っているそうです。
例えば、「新鮮組チーム」や「なんちゃってヘルパーチーム」「昆布チーム」などがあり、それぞれユニークな取り組みをしています。
名前だけでもとってもユニークなんですが、どんなことをやっているのか少し覗いてみましょう!
<新鮮組チーム>
新鮮組チームは、地域のゴミ回収や処分、草刈り、雪かき、農業、水産加工など多岐にわたって活動しています。
家屋の解体なども行っているということです。
また、高齢化が進む地域で亡くなった方の家の整理や掃除なども行っているということで、浦河町(地域)のためになることを進んで行っている印象を受けました。
新鮮組チームの農業で栽培された野菜は、べてるのカフェや食堂、グループホームや地域での移動販売などで提供されています。
べてるで作る野菜は無農薬なので、安心して食べることができます!
<なんちゃってヘルパーチーム>
今は「なんちゃって」のヘルパーチームなのですが、近々本当のヘルパーステーションができるとのことです。
ヘルパーステーション設立にあたり、介護福祉士などを積極的に募集しているそうです!!
幻覚妄想大会ってなにもの?!

「幻覚妄想大会」
名前を聞いただけでも「えっ!」「なに?」って聞き直したくなってしまいそうな絶妙なネーミングセンスですねw
幻覚や妄想についてのなんらかの大会なのかなぁ・・
ってなんとなく想像できそうですが、いったいどんな大会なのか、ちょっと定義があったのでみてみましょう。
幻覚妄想大会とは、1年間でもっともユニークな幻覚・幻聴・妄想を体験し、そのことでどれだけ周囲に豊かな恵みをもたらしたかを賞して表彰する大会である。
(「ノーマライゼーション 障害者の福祉」 2009年8月号 1000字提言より)

幻覚や妄想で苦しんだために表彰するのではなく、周りの仲間やスタッフたちがそれによって幸せな気持ちになれたかをみて表彰されるというところが、とってもユニークでべてるらしいなと思いました。
幻聴妄想かるた

こちらは、世田谷区にある精神障害者共同作業所ハーモニーの大ヒット商品となったかるたです。
名前を聞いただけでも、
「なんか普通のかるたとは違いそうだな」
と勘づくと思いますが、、その勘は的中しています(笑)
ふ・ふいに空から声がして
「三越の前で待っている 歩いて来い」
1日待ったが誰もこなかった
これはかるたの「ふ」の読み札ですが、正直「ん?」ってなりますよねw
こんな調子でちょっとプッと笑ってしまいそうな感じの読み句が続いています。

そんな精神世界を読んだ面白かるたですが、一つだけルールがあるんです。
それは、
読み終わるまで札を取らないこと。
「読み札を最後まで聞いてその内容も楽しんでもらいたい」
って言う作った人たちの気持ちが感じられます!
「えっと・・これはどういう意味だ?!」
とか考えているうちに、相手に「パンッ」と札を取られている・・
なんてこともありそうですねw笑
べてるの理念が異質すぎる!!!

べてるの家やそのコミュニティーがなかなかすっ飛んでいるのは今までの記事をお読みいただき薄々感づいてもらえたと思います。
その集大成と言ってはなんですが、べてるの真髄をこれでもかと言ったほどに表しているのが、この「理念」です。
これまでにお話ししてきた内容と照らし合わせてみると、
「なるほどぉ」
と思う箇所が見あたると思います。
それでは、「理念」お見せします。
・三度の飯よりミーティング
![]()
・安心してサボれる職場づくり
・自分でつけよう自分の病気
・手を動かすより口を動かせ
![]()
・偏見差別大歓迎
・幻聴から幻聴さんへ
・場の力を借りる
![]()
・弱さを絆に
・べてるに染まれば商売繁盛
・弱さの情報公開
![]()
・べてるに来れば病気が出る
・利益のないところを大切に
・勝手に治すな自分の病気
・そのまんまがいいみたい
![]()
・降りてゆく生き方
・苦労を取り戻す
・それで順調
いっぱいありますが、読んでいてホッとするというか、こんな社会があればいいなぁなんて思っちゃうことがずらりって印象でした。
こんな少し現実離れしている理想郷かのように思えてくるコミュニティーが浦河にあると思うと、なんとなく筆者は行ってみたくなってしまいました。
「理念」をイラストにしてみた – ラインスタンプがとっても可愛い♡

べてるではラインスタンプの販売もしています。

スタンプを載せておくので、いいなと思ったらぜひ使ってみてくださいね。

こちらから120円で購入できます。(お金とるのかーーい!w)

人生○、可愛い♪

当事者研究とは?

これまでにべてるの活動や理念などを見てきましたが、べてるで忘れてはいけないすごいことがもう一つあるんです。
それが、
「当事者研究」
です。
むむ、当事者研究とは?何者?と思われた方。
もしあえて一言で説明するならば、
当事者研究とは、自分たちで自分たちのことを研究すること。

もう少し詳しく説明すると、、
彼らが日常生活で感じる生きづらさや苦労を、病院へ行って回避するということではなく、自分たちで生きづらさを解明してどうやって乗り越えていけばいいのか考えていこうという試みです。
では、べてるでは具体的にどのように当事者研究が行われているのでしょうか?
少し覗いてみましょう。
【環境】
参加人数:その日に参加したいと集まった10~20人
進行役:当事者1名+スタッフ(当事者じゃない人)1名
必要なもの:ホワイトボード
座席:輪を作る
広さ:ロールプレイできるくらいの空間がベスト
所要時間:1時間を超えない程度
また、進行についてはこんな感じです。
1.参加者全員が気分や近況を自己紹介を兼ねて話す
2.当事者研究のルールや趣旨の説明
3.当事者研究のメンバーが研究したいテーマについて語る
4.進行役は質問しながらホワイトボードに記録。参加者もどっように質問やコメントをする。
5.議論が終わってきたところで当事者が発見したことや感想を話す
6.進行役が感想・まとめを話し、終わり。
さらに、研究自体の進め方は以下を参考にしてください。
1.何がどうなっているのかを解明する。
2.それにどう対処してきたか
(爆発や脅迫的な行為も否定せずに「自分を助ける行為」として受けとめるようにする。)
3.その結果や満足度は?
4.満足度が低い場合、「自分の助け方」の他の案を検討してみる。
具体的に、どのようなタイミングでどのようなことを行うのかを考え、必要であればシミュレーションする。
5.その結果どう変化したのかを観察する。→また上記のサイクルを繰り返してみる。
なんとなくPDCAサイクルのような考え方だなと思いました!
皆さんもぜひ上記を参考にやってみてはいかがでしょうか。
べてるの家の場所
北海道浦河町はここ▼

※上の写真の赤枠の部分、札幌の南東の位置にあります。
べてるはここ▼
JR浦河駅から徒歩10分くらいのところにあります。
べてるに関する書籍
最後に、べてるに関する書籍を3冊ご紹介していこうと思います。
1.「安心して絶望できる人生」向谷地生良・浦河べてるの家(NHK出版)

北海道にある浦河べてるの家。統合失調症などを抱える人たちが暮らす共同体だ。最近べてるの家では、自分の病気を自分で研究する「当事者研究」が盛ん。「幻聴さん」と一緒に暮らし思いが極まれば「爆発」する。そんな自分を「研究」してみると、いつもの苦労や絶望のお蔭で、何だか自分の助け方がわかるように思えるから不思議だね。弱いから虚しいから、絶望の裏返しの希望を見晴かせる。逆転の人生哲学の「爆発」だ。
(アマゾンの商品説明を参照)
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2.「べてるの家から吹く風」向谷地生良(いのちのことば社)

今日も、明日も、明後日も、順調に問題だらけ。
精神障害と生きる新しい時代の生き方
初版から12年、増補改訂版
北海道浦河町にある「べてるの家」の黎明期の人々の物語。
(アマゾンの商品説明を参照)
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3.「みんなの当事者研究」熊谷晋一郎(金剛出版)

浦河べてるの家から生まれ依存症自助グループ・発達障害当事者グループとともに発展してきた当事者研究を、「中動態の世界」をキーワードに國分功一郎と熊谷晋一郎が語り合う。
(アマゾンの商品説明を参照)
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終わりに
いかがでしたでしょうか。
今回は、北海道浦河町にあるべてるの家とその取り組みについてご紹介してきました。
精神障害を持った人たちやその他の障害などを持った人たちに、べてるの世界を知ってもらう機会になれたらとても嬉しいです。
それでは、本日も最後までお付き合いいただきありがとうございました。
また次回お会いしましょう。
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